経営企画
公開日: 2020.04.02
業務効率化に最適なITツールとは? 成功事例からわかること
長時間労働の是正や年次有給休暇の年5日の取得義務などが法制化され、いま日本は社会を挙げて働き方改革に取り組んでいる。新しく制定された法規制の中には、企業規模を問わず対象となるものもあり、慢性的な人手不足に悩まされる中小企業は、より一層、業務効率化に力を入れなければならないだろう。
本記事では、中小企業が業務効率化を推進し、成功するためのITツール導入について、事例を交えながら紹介する。

働き方改革で注目される「業務効率化」
働き方改革の目的の一つは、日本企業の従来型の労働環境を改善することによって、働く人一人ひとりのニーズに合った働き方を可能にし、ワークライフバランスの実現や働き過ぎを防止することである。働き方改革の中でも労働時間の削減は、企業が優先的に取り組むべきであり、従業員が限られた時間の中で業務効率を上げて働ける環境づくりをどのように行うかが課題となる。
そこで解決の鍵となるのが、ITツールの活用だ。次項では、ITツールの活用によって、業務効率化に成功した事例を紹介する。
そこで解決の鍵となるのが、ITツールの活用だ。次項では、ITツールの活用によって、業務効率化に成功した事例を紹介する。
ITツールを活用し、業務効率化に成功した事例
ITツールを活用することで、さまざまな業務効率化を実現することができる。ここでは、三つの成功事例を紹介する。
情報共有にクラウドサービスを導入し、ペーパーレス化と作業時間66%削減を達成
従業員9名の、食品通販を行う会社の事例。
創業当時はインターネットの通信販売を行う会社として設立。その後、自社のノウハウを生かしてウェブサイト制作やECサイト制作も手がけるようになり、現在では、オンラインマーケティングやクラウドインテグレーターの分野でも成長している。
同社では当初、人手不足を解消すべく業務効率化を目指していたが、在宅ワーカーの採用も始めたことをきっかけに、情報共有をオンラインでもできるITツールの導入を決定した。在宅ワーカーとオフィス勤務者間でやり取りする情報の集約、手書き伝票の廃止、タイムレスなコミュニケーション、リアルタイムでの情報更新などを行うためにGoogleのクラウドサービス「Google Workspace(旧 G Suite)」を導入。「Google Workspace(旧 G Suite)」は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、さまざまな端末に対応し、いつでもどこでも共通の書類を見ながらウェブ会議を開くことができる。
クラウド上に情報を集約した結果、今まで紙ベースで出力していた資料もデジタルデータに変更。業務のさまざまなシーンで発生するムダな時間を削減できたことにより、作業時間を前年比で66%削減することに成功。これにより、業務効率が改善され、生産性の向上につながった。
創業当時はインターネットの通信販売を行う会社として設立。その後、自社のノウハウを生かしてウェブサイト制作やECサイト制作も手がけるようになり、現在では、オンラインマーケティングやクラウドインテグレーターの分野でも成長している。
同社では当初、人手不足を解消すべく業務効率化を目指していたが、在宅ワーカーの採用も始めたことをきっかけに、情報共有をオンラインでもできるITツールの導入を決定した。在宅ワーカーとオフィス勤務者間でやり取りする情報の集約、手書き伝票の廃止、タイムレスなコミュニケーション、リアルタイムでの情報更新などを行うためにGoogleのクラウドサービス「Google Workspace(旧 G Suite)」を導入。「Google Workspace(旧 G Suite)」は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、さまざまな端末に対応し、いつでもどこでも共通の書類を見ながらウェブ会議を開くことができる。
クラウド上に情報を集約した結果、今まで紙ベースで出力していた資料もデジタルデータに変更。業務のさまざまなシーンで発生するムダな時間を削減できたことにより、作業時間を前年比で66%削減することに成功。これにより、業務効率が改善され、生産性の向上につながった。
【業務効率化のポイントまとめ】
- 在宅ワーカーとオフィス勤務者の情報共有のためのクラウドサービスを導入
- クラウド上に情報を集約したことにより、ペーパーレス化を実現
- 作業ロスがなくなり、作業時間を66%削減
- 業務効率が改善され、機会損失を防ぐ結果に
業務内容のリアルタイムな可視化によって、安全強化とコミュニケーションの活性化を実現
従業員数85名の土木建築業を営む会社での事例。
創業以来、道路工事や下水道工事、電力工事など、主に地域インフラ工事を担う会社だ。地域密着型の企業として地元の発展に貢献している。会社が抱えている課題として、作業現場での安全性強化が挙げられる。施工事例の少ない工事では、現場の危険箇所を予測することが難解である。しかも2次元の設計図の把握は熟練者でないと難しく、現場の事前把握が困難であった。その上、もともと建築業の現場は閉鎖的な傾向にあり、従業員同士の交流が少ないのも課題だった。
そこで、事故防止を目的に、3次元図面によって工事現場の可視化ができるICT(情報通信技術)「3次元仮想現実」(3DVR)の導入を検討。この技術では、設計図を従来の2次元から3次元化し、3DメガネによるVR(仮想現実)技術を使うことで、実際の現場との違いをリアルタイムで確認することができる。
危険箇所を現場の従業員が共有することで、安全確保だけでなく、作業員同士のコミュニケーションも増え、業務が円滑に行えるようになった。ICTの活用により、施工の安全確保や納期短縮を実現し、コミュニケーションツールとしても役立った事例である。
創業以来、道路工事や下水道工事、電力工事など、主に地域インフラ工事を担う会社だ。地域密着型の企業として地元の発展に貢献している。会社が抱えている課題として、作業現場での安全性強化が挙げられる。施工事例の少ない工事では、現場の危険箇所を予測することが難解である。しかも2次元の設計図の把握は熟練者でないと難しく、現場の事前把握が困難であった。その上、もともと建築業の現場は閉鎖的な傾向にあり、従業員同士の交流が少ないのも課題だった。
そこで、事故防止を目的に、3次元図面によって工事現場の可視化ができるICT(情報通信技術)「3次元仮想現実」(3DVR)の導入を検討。この技術では、設計図を従来の2次元から3次元化し、3DメガネによるVR(仮想現実)技術を使うことで、実際の現場との違いをリアルタイムで確認することができる。
危険箇所を現場の従業員が共有することで、安全確保だけでなく、作業員同士のコミュニケーションも増え、業務が円滑に行えるようになった。ICTの活用により、施工の安全確保や納期短縮を実現し、コミュニケーションツールとしても役立った事例である。
【業務効率化のポイントまとめ】
- 工事現場の可視化を実現するICTを導入
- リアルタイムに危険箇所情報を現場従業員で共有し、安全確保を強化
- 現場の把握にかかる時間を削減
- 意思疎通や意見交換など、コミュニケーションが活性化
クラウド型の名刺管理アプリで、戦略的な営業活動の基盤を構築
従業員数61名の産業機器向けのコネクタ、ケーブル類の製造・販売などを行う会社の事例。
同社はスイスに本社を置く企業の日本法人で、世界でトップクラスの高性能・高信頼性のコネクタソリューションを提供している。同社では2019年2月、ITによる業務効率化とビジネス価値の向上を目的に、「IT推進プロジェクト」を立ち上げた。ITを活用することで、業務プロセスや顧客とのコミュニケーションの在り方を見直した。その中で、営業担当者の業務のムダを省いて、本来の業務により多くの時間が割ける環境をつくることを目指した。
これまで、営業活動時にもらう名刺の管理は、属人的で手間のかかる作業であった。例えば、営業担当者は名刺をデータ化してもらうために、その都度、名刺のコピーをとり、データ入力担当者へ渡すという方法を取っていた。また、展示会運営では、交換した名刺情報を表計算ソフトに手入力していた。そのため、展示会終了後、見込み客へフォローをするのに3~4日を要していたという。
クラウド型の名刺管理アプリを導入した結果、顧客情報は、名刺情報をスキャンするだけでデータベース化され、全社で共有できるようになった。これにより、データ入力にかかっていた作業時間が大幅に削減され、コピー用紙の節約も実現。また、担当者が違っても、過去につながりがあった会社かどうかの情報を検索する時間や、展示会で名刺交換をした見込み客のフォロー時間が短くなり、迅速な営業アプローチが可能となった。
同社はスイスに本社を置く企業の日本法人で、世界でトップクラスの高性能・高信頼性のコネクタソリューションを提供している。同社では2019年2月、ITによる業務効率化とビジネス価値の向上を目的に、「IT推進プロジェクト」を立ち上げた。ITを活用することで、業務プロセスや顧客とのコミュニケーションの在り方を見直した。その中で、営業担当者の業務のムダを省いて、本来の業務により多くの時間が割ける環境をつくることを目指した。
これまで、営業活動時にもらう名刺の管理は、属人的で手間のかかる作業であった。例えば、営業担当者は名刺をデータ化してもらうために、その都度、名刺のコピーをとり、データ入力担当者へ渡すという方法を取っていた。また、展示会運営では、交換した名刺情報を表計算ソフトに手入力していた。そのため、展示会終了後、見込み客へフォローをするのに3~4日を要していたという。
クラウド型の名刺管理アプリを導入した結果、顧客情報は、名刺情報をスキャンするだけでデータベース化され、全社で共有できるようになった。これにより、データ入力にかかっていた作業時間が大幅に削減され、コピー用紙の節約も実現。また、担当者が違っても、過去につながりがあった会社かどうかの情報を検索する時間や、展示会で名刺交換をした見込み客のフォロー時間が短くなり、迅速な営業アプローチが可能となった。
【業務効率化のポイントまとめ】
- 属人的だった名刺管理をクラウド型の名刺管理アプリでの管理へ移行
- 全社規模で人脈や顧客情報を共有化
- 名刺情報検索に要していた時間を89%削減
- 各顧客に適した担当者の振り分け作業に要していた時間を60%以上削減
- 展示会で獲得したリード情報の即時活用を実現
ITツールを積極的に活用し、業務効率化を実現
国を挙げて進められている働き方改革に企業として取り組むためには、法規制への対応だけでなく、労働環境の見直しや、業務効率化が不可欠だ。
業務効率化を実現するIT技術の普及・発展により、自社の業種や業務内容に合ったITツールの活用が検討しやすくなっている。働き方改革への取り組みの一つとして、視野に入れてみてはどうだろうか。
その他にも、業務効率化はどのように進めれば良いのかを、中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹氏に聞いた資料もあるので、興味がある方は、ぜひ読んでみて欲しい。
業務効率化を実現するIT技術の普及・発展により、自社の業種や業務内容に合ったITツールの活用が検討しやすくなっている。働き方改革への取り組みの一つとして、視野に入れてみてはどうだろうか。
その他にも、業務効率化はどのように進めれば良いのかを、中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹氏に聞いた資料もあるので、興味がある方は、ぜひ読んでみて欲しい。

「残業するな」は逆効果!?正しい「働き方改革」とは
中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹さんによれば、働き方改革に取り組んでいると回答する企業数が増えている一方で、その本質を十分に理解し、実践できている企業数はわずかだという。働き方改革の本質について話を伺った。