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人事 2021.02.09

HRテックの導入効果を最大化するポイントとは

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 近年、業務の生産性向上が叫ばれる中で、人事・労務領域の課題を解決する「HRテック」が急速に普及している。本記事ではHRテックの種類、普及の背景から、その課題や効果を最大化するためのポイントを解説する。

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目次

HRテックの市場規模は右肩上がり

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 近年、HRテックを導入している企業数は増加している。2019年末のシード・プランニングの調査によると、2019年のHRテック市場規模は1199億円で、2018年比130%増の勢いで拡大している。2018年も925億円と2017年の586億円から大きく数字を伸ばしており、市場規模は右肩上がりに成長していることが読み取れる。

 また、同調査では2023年までの市場規模の予想も行っており、2023年の市場規模は2504億円、2019年比の約2.1倍に達するとされている。
HRテックとは

 「HRテック(HR Tech)」とは、Human Resource Technologyの略で、HR(Human Resource)=人的資源と、Technology=技術を掛け合わせた造語である。

 採用・育成・配置といった人事業務から勤怠・評価・給与計算などの労務管理まで、人的資源に関わる業務が抱える課題をテクノロジーで解決し、品質の向上や効率化を支援するサービスを指す。用いられるテクノロジーは多様で、クラウド、AI、ビッグデータ、モバイルなどが主なものとして挙げられる。

 人的資源が関わる業務は幅が広く、定型業務から、高度なコミュニケーションが必要なマネジメント、人事評価など多岐にわたる。そのため、HRテックにもさまざまな種類があり、それぞれのシステムで効果が期待できる業務も異なる。ここでは、代表的な種類を紹介する。

エンゲージメントシステム
 モチベーション管理システムとも呼ばれ、上司や人事担当者の“直観”や“経験”が一般的だった社員のモチベーション管理を、システムやデータの活用などを通してサポートするシステムだ。組織課題や人事評価の基準が不明確だったために起こっていた、生産性低下や離職を防ぐ効果が期待できる。

 主な機能としては、社員のフィードバック管理やアンケート、ストレスチェックといったものから、モチベーションをエンゲージメントスコアとして可視化し管理するものなどが挙げられる。

勤怠管理システム
 出退勤や遅刻・早退といった日々の勤怠管理から、休暇やスケジュールの申請の処理といった業務をウェブやアプリ上で一括して実施・管理できる。社員へのアラート機能、プッシュ通知機能などが搭載されているものもある。​

 社員の労働時間の状況をリアルタイムかつ正確に管理でき、集計作業もシステム上で行えるため、残業時間の集計や給与計算などに関する業務の大幅な効率化が期待できる。

タレントマネジメントシステム
 個人情報、スキル、経験、評価といった社員の基本情報をデータ化して一元管理・分析できるシステム。配置や育成などの人事戦略が、客観的かつ効率的に実施できるようになる。また、顔写真とセットで登録できるサービスが多く、要員計画やチーム作成などの際に、シミュレーションを効率化させることもできる。
 HRテックを導入する企業が増えている背景として考えられるのは、主に以下の3点である。

1.労働力人口の減少

 少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少が課題となっている。限られた労働力で最大限の成果を挙げることが求められる状況では、生産性の向上は欠かせないポイントであり、HRテックを用いた既存業務の効率化や最適な人材配置が進んでいる。

2.労働環境の変化

 近年日本でも働き方改革をはじめ、副業や複業、テレワーク、転職率の増加など労働環境の大きな変化が起こっている。多様な働き方や流動性の高い雇用を管理するためには、既存の一括した管理ではなく、データを活用した柔軟かつ効率的な管理方法が求められている。

3.テクノロジーの進歩

 クラウド技術が普及し、ベンチャー企業や中小企業によりSaaS(Software as a Service)のサービスが開発されたこと、また初期投資のコストが削減されたことによる導入のハードルが下がったことも、背景として挙げられる。

 クラウド技術以外にも、AIやビッグデータ分析といった高度なテクノロジーが一般的になったことで、それまで機械ではできなかった業務もシステムで処理することが可能になった点も背景として考えられる。

HRテックの利用実態

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 普及が進むHRテックだが、HRテックのシステムをそれ単独で使っている企業が少なくない。先述した通りHRテックにはさまざまな種類があり、ほとんどのシステムにおいて、適用できる業務の範囲は限られている。

 例えば人事評価系のHRテックを単独で使っている場合、人事評価の際に過去の評価や今期の成果を記録することはできるが、成果を出す過程で個人が実施したことや、その中で身についた強みなどは加味することができないケースがある。そのため、業務の成果だけを見た評価となってしまうのだ。

 その他にも、適切な人材配置や、人材育成の際には、HRテック単独の使用だけでは難しい業務があるのが現状である。

HRテックで管理できる情報の限界

 HRテック単独の使用では十分に効果を発揮できない要因として大きいのが、“HRテックで管理できる情報には限界がある”という点である。

 社員の経歴や成果、計測時点でのモチベーションなど、定点データは管理できる。しかし日々の業務プロセスの中で身についた強みや、活動の中から見えたビジネスマンとしての傾向など、変化・成長していく部分のデータは本人の記入ベースでスキルや経験をデータとして残しておくことはできるが、管理することは難しい。

 また、現場での業務の実態を分析すると、本人が意識していなかった領域のスキルや強みが顕在化するケースもある。

 HRテック単独での定点データの観測では、日々の業務プロセスを加味した包括的な人事評価は難しいことが多いのだ。

人材管理はHRテックで管理する情報と、日々の業務情報を掛け合わせることが必要

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 適切な人材配置や人材育成、評価を行うためには、HRテックの情報のみでなく、日々の業務で身についたスキルなどの情報を可視化し、掛け合わせて見るべきだ。HRテックと、実際に現場の業務で利用するツール内のデータを一緒に見ることが鍵となる。

 法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は、顧客データの管理と併せて、その顧客データと社員のつながりを可視化することができる。日々の業務の中で得たつながりや身についた強みを分析することで、社員の成果をより深く正確に評価することができるだろう。

HRテックの使い方を見直して効果を最大化

 HRテックの種類は多岐にわたり、既存業務の効率化から人材活用戦略の高度化まで多くの効果を期待できる。特に、社員の生産性を高めることが重要視される中では欠かせないシステムとなりつつある。

 一方でHRテック単独での利用では、管理できる情報には限界があることも踏まえておくべきである。HRテックの利用効果を最大化させるためには、日々の業務プロセスの中で変化していくリアルなデータと掛け合わせることが重要だ。

 ぜひこの機会に、さらなる生産性向上に向けてHRテックの使い方を見直してみてはいかがだろうか。

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