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人事 公開日: 2022.09.14

中途採用時の精度を上げるリファレンスチェックのメリットと実施時のポイント

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 外資系企業でよく用いられる中途採用時の調査に採用候補者の関係者からその人の人物像などを確認するリファレンスチェックという採用調査がある。近年では外資系企業だけでなく、日系企業でも実施が増加しつつある。本記事ではリファレンスチェックについての概要やメリット、注意点について述べる。

【画像】Shutterstock

目次

リファレンスチェックとは

 リファレンスチェックとは、中途採用の際に、応募者の前職の関係者に人柄や能力などについて前職の関係者に問い合わせる手法である。リファレンス(reference)とは「参照」を意味する英単語で、応募者の関係者への参照を意味する。

 前職の関係者に問い合わせれば、応募者本人が申告した経歴や実績の裏付けや、応募者本人も気づいていないような客観的な評価を参照できる。問い合わせの方法は多様で、電話を用いる会社もあれば、書面での問い合わせや面談を実施する企業もある。外資系企業では一般的に行われているが、日系企業での導入率は低い。

身辺調査との違い

 リファレンスチェックと似た採用時の調査に、調査会社や興信所、探偵社に依頼して実施される身辺調査がある。身辺調査は応募者本人に無断で、気づかれないように実施するのに対し、リファレンスチェックは応募者本人の同意を得た上で個人情報保護法を遵守した上で実施する点で異なる。

 調査会社などの身辺調査自体は違法ではないが、プライバシーなどの人権侵害に繋がるおそれがある。また、身辺調査を行っている事実が発覚した場合、企業のイメージが悪化する恐れがあるため、安易に実施するのは控えたほうがよいだろう。

 一方で、リファレンスチェックは本人がチェック内容にも同意しているためコンプライアンス上の問題も少ない。

リファレンスチェックを行う理由

 リファレンスチェックは、外資系企業では一般的である。特にアメリカ資本の企業ではよく実施されている。アメリカでは就職や転職の際に推薦者が必要な場合が多い。例えば、就職活動時には大学教員の推薦状、転職時には上司からの推薦状の提出が必要である。

 日本に存在する外資系企業がリファレンスチェックを実施するのは、本国のこのような文化を受け継いでいるからだ。日系企業ではあまりなじみのない制度だが、さまざまなメリットがある。

リファレンスチェックのメリット

【画像】Shutterstock

ミスマッチを防げる

 メリットの1つは雇用のミスマッチを減らせることだ。採用面接などでも応募者の人となりやコミュニケーション能力は測れるが、面接のときは緊張しているため、普段のコミュニケーションと質が異なっていることが多い。また、実績や経歴に詐称がなかったとしても、イメージをよくするために話を盛ったり、逆に自信のなさから過小に申告したりする場合もあるだろう。

 そのような応募者本人の主観によるバイアスを排除し、第三者による客観的な見解を得られるため、採用後に想像していた人物像と全然違ったといった事態をなくすことができる。

応募者本人も知らない情報を得られる

 企業の採用活動にはさまざまな選考過程があるが、書類選考も面接も応募者本人の自己申告が元になっている点は共通している。しかし、このような自己申告を元にした選考では、有用な情報が得られない場合もある。というのも、応募者本人が自分のスキルや特性に気づいていない場合があるからだ。

 応募者をよく知る第三者にリファレンスチェックすれば、応募者本人も気づいていないような人間性や職務能力を採用前に把握できる可能性が高くなる。

早期離職を防止できる

 ミスマッチが減れば、早期離職も防ぐことができる。社員が入社後、早々に離職してしまうのは、採用時にその人物が思い描いていたイメージと実際の仕事とのギャップが原因である場合が多い。リファレンスチェックの実施によるミスマッチの低減は、応募者にとってもメリットがある。なぜなら思い描いていたイメージとのギャップがある職場に就職するリスクを低減できるからだ。

リファレンスチェックでの質問内容

【画像】Shutterstock
 リファレンスチェックの際の質問内容は主に以下の三つに大別される。

1.応募者の勤務実績や経歴

 応募者の勤務実績や経歴は履歴書や面接で本人から申告されているが、確認のためにリファレンスチェックの対象者にも確認する。具体的な質問としては以下のような例がある。

●    応募者の勤続年数
●    職務内容
●    役職
●    部下の人数

2.応募者の人物像

 応募者が普段の勤務時にどのようにコミュニケーションを取っていたかを尋ね、人物像を把握する。具体的な質問としては以下のような例がある。

●    周りとのコミュニケーション
●    行動の特徴や性格
●    上司や部下との関係
●    ビジネスマナー
●    勤務態度
●    勤務先でのトラブル
●    主観的に応募者をどう思うか
●    仕事に対する取り組み方

3.職務能力

 リファレンス対象者から見た応募者の職務能力を確認する。具体的な質問としては以下のような例がある。

●    勤務先での実績
●    トラブルが起こったときの応募者の対応
●    仕事の効率性
●    また一緒に働きたいか
●    リーダーシップ
●    会社にどんな提案をしたか
●    強みと弱み
●    応募者に今後必要なこと

リファレンスチェックのポイント

【画像】Shutterstock
 リファレンスチェックは適切に行えば効果は絶大だが、ポイントを誤ると無意味になってしまうケースもある。どのようなタイミング、方法で実施するのが好ましいか述べる。

リファレンスチェックを行うタイミング

 リファレンスチェックを実施するタイミングはさまざまだが、一般的には選考の終わりごろ、内定直前である場合が多い。企業によっては内定後に実施する場合もある。内定後の場合は選考の一環ではなく、内定者の実績の裏づけといったものになる。リファレンスチェックのタイミングに決まりはなく、いつ実施してもよいが、候補者が絞られないうちに実施すると無駄になるものが多くなるため、ある程度絞られてからのほうがよいだろう。

リファレンスチェックの方法

 リファレンスチェックで重要なのは求職者の同意を得る点だ。これは口頭による簡易的な同意では不十分であり、しっかりと説明資料を用意し、チェックの目的や手法まで細かく説明したうえで同意を得たほうがよい。

 また、リファレンスチェックの対象者は応募者が指名する場合と、企業や調査会社が独自に探す場合がある。通常は仕事で関係が深い上司などが対象者となる。

リファレンスチェックの対象

 リファレンスチェックの対象は応募者と関係が深く、仕事ぶりをよく知っている人物を選ぶのが望ましい。例えば、前職の上司などである。関係が薄い相手の場合は的確な情報が引き出せない場合がある。

リファレンスチェックを行う際の注意点

【画像】Shutterstock
 リファレンスチェックの定義やメリット、ポイントをお伝えしたが、ここで注意点について触れていこう。リファレンスチェックだからこそ得られる情報もあるが、それゆえに情報の取扱いには注意する必要がある。採用候補者と不要なトラブルを起こさないためにも慎重に。

個人情報保護法を遵守する

 個人情報保護法第2条3項には「要配慮個人情報」が規定されている。要配慮個人情報とは、公開されたら本人が差別や偏見などの不利益を被るような情報である。要配慮個人情報は取得するのに本人の同意が必要になる。これはリファレンスチェックも同様である。要配慮個人情報には以下のようなものがある。

●    人種
●    信条
●    社会的身分や本籍地
●    病歴
●    犯罪歴
●    犯罪の被害を受けた事実
●    障害の有無
●    健康診断の結果
●    通院歴
●    無罪や不起訴になった場合の逮捕歴
●    未成年のときの非行で何らかの処分を受けた履歴

 これらの情報は採用面接などでも聞いてはいけないとされており、リファレンスチェックでもそれに準じた扱いをするべきである。直接業務に関わる場合は別だが、基本的には質問に入れるべきではないだろう。

内定取り消しは慎重に

 内定後にリファレンスチェックをした結果、ミスマッチが明らかになる場合がある。その際、安易に内定取り消しを検討するのはリスクがある。内定の法的な名称は「始期付解約権留保付き労働契約」とであり、内定を出した時点で、すでに労働契約は締結されている。あくまでも労働契約に解約権が付いているだけである。

 ただ、解約権が付いているといっても、無条件に解約できるわけではない。労働契約の解約は労働者に著しい不利益をもたらすので、合理的な理由がない場合は無効となるケースも多い。リファレンスチェックの結果を理由に内定取り消しをする際は、法律の専門家も交えて慎重に検討すべきである。

採用課題に対する課題にはさまざまな解決策がある

 中途採用において、リファレンスチェックはさまざまなメリットが存在する。日系企業ではあまり一般的ではない手法だが、導入を検討してみるのもよいだろう。採用課題に対する課題にはリファレンスチェックの他にもさまざまな解決策がある。ぜひ下記サイトを参考にしていただきたい。

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