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人事 公開日: 2022.10.24

テレワーク下の見えない残業...業務を効率化し、労働環境を整える一手とは

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 新型コロナウイルスの感染拡大によって、急激に普及したテレワーク。生産性の向上や、従業員に支払う交通費、オフィスのテナント料といったコストを削減できるメリットはあるものの、従業員の労働実態が見えにくく、長時間労働が常態化する懸念もある。本稿では、テレワーク環境下で残業が発生する原因と、解消するべきポイントを解説する。

【画像】shutterstock

目次

テレワークの裏にある、労働時間の適正化の課題

 新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークを導入する動きが加速している。パーソル総合研究所が企業で働く従業員2万人を対象に行った調査によれば、2020年3月時点でのテレワークの実施率は13.2%だったが、2020年11月時点での実施率は24.7%と、わずか8カ月で11.5ポイントも上昇している。また、従業員1万人以上の大手企業では45%と、半数近くがテレワークを導入している。
 テレワークは、オフィスのテナント料やOA機器のリース費用、従業員に支給する交通費など固定費の削減、育児や介護と仕事の両立、業務効率の向上など、企業側と従業員側、双方にメリットがある。

 パソナは、2024年までに本社に在籍する従業員の4分の1を、段階的に淡路島へ移すと発表したほか、芸能事務所のアミューズは富士山麓への本社移転計画を報道されている。新型コロナウイルスが収束しても、元の出社原則のワークスタイルに戻る気配はなく、むしろ今後、テレワークが広く浸透していくことが考えられる。

 しかし、テレワークは良い面ばかりではない。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションでは、相手の表情やしぐさで感情の機微や意図を汲み取れるが、Web会議などオンラインの画面越しで得られる情報は限られ、コミュニケーションの行き違いが発生する可能性が高い。また、タイムリーに受け手の反応や返信が行われないため、ある程度、従業員個人に自己解決能力が求められる。そのため、気軽に相談ができずにトラブルや悩みを1人で抱えてしまう弊害もある。

テレワーク下で増える“見えない残業”

【画像】shutterstock
 弊害があるのはコミュニケーションだけでない。テレワークは生産性が向上する側面もあるが、在宅の場合、勤務実態を正確に把握できないといった問題もある。オフィスワークと異なり、厳密に勤務時間を把握できないためだ。業務用端末の利用制限や利用監視ツールを導入する方法もあるが、完全に行動を監視できるわけではない上に、従業員満足度の低下につながる恐れもある。

 日本労働組合総連合会の調査では、テレワークに対して「仕事とプライベートの時間の区別がつかなくなることがあった」と回答した割合が71.2%、「通常の勤務よりも長時間労働になることがあった」と回答した割合が51.5%と、半数以上が長時間労働や残業を課題としてとらえている。また、テレワークで時間外労働や休日労働をしたのにもかかわらず、「残業申請をしなかった」と回答した割合は65.1%、「勤務先に認められなかった」と回答した割合は、56.4%にのぼる。
 長時間労働をしているのにもかかわらず、残業申請ができない……。このような矛盾した状況はテレワークが積極的に導入される前から存在した。だがテレワーク下は、オフィスワーク以上に容易に残業がしやすい環境であり、隠れ残業の温床となっている。まさに見直さなければならない問題である。

 しかし、改善はそうスムーズにいかない。部署間の調整、取引先との利害関係、さまざまな要素が絡み、現場で働く従業員にしわ寄せがくるのが現状だ。このような状況を放置したままだと、従業員のモチベーションが低下し、離職率の増加といった働き方や雇用にまで及ぶ事態を招いてしまうだろう。

テレワーク下で残業時間が増える原因とは

【画像】shutterstock
 では、なぜテレワーク下では残業時間が増えてしまうのだろうか。原因は大きく分けると以下の三つが考えられる。
コミュニケーションに時間がかかる
 対面のコミュニケーションであれば、後ろや前の席にいる上司や同僚、部下に、気軽に質問や相談ができた。しかし、テレワークでは、電話、ビデオ通話やチャットでのコミュケーションが主流となるため、返答にはタイムラグが生じる。また、テキストだけのコミュケーションでは、感情の機微、温度が伝わらず、誤解が生じることも。

仕事とプライベートの境界線がなくなるため
 テレワークは自宅の一部を勤務地にできるため、出社時よりも育児や介護との両立がしやすい側面もある。しかし、定時後に届くメールやチャットのやり取りをつい追ってしまったり、子供の泣き声などで集中が妨げられ、定時後に仕事せざるを得なくなったりなど、オンオフの境目がないことによる弊害もある。自分を律し、仕事に集中するセルフマネジメント能力が問われる。

残業増加の原因特定が難しい
 オフィスワークでは、誰がどの業務を実施し、何のために残業しているのか、勤務実態を把握するのはさほど難しくない。しかし、テレワークでは各々のペースで、各々の異なる環境で業務をしているため、従来のように、簡易的な勤怠連絡だけでは、残業増加の原因を特定するのが難しい場合もある。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、通常の労働時間制度で働く社員のテレワーク時の勤怠管理について、「上長等に対してメールによる報告を行う」が最も多く40.7%、次が「電子ファイルや勤怠管理システムの出勤簿に自己申告で記入」で34.8%、「ウェブ上でタイムスタンプを押す・打刻する」で21.6%という結果だった。
【参考】三菱UFJリサーチ&コンサルティング「テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)」

テレワークで残業が増えた理由は、労働環境にあり

 前述したように、残業時間が増える要因はいくつかあるが、中でも特に問題なのが周囲に誰もいない環境だろう。物理的に、上司や同僚、部下と距離が生まれることで、気軽に質問や相談ができず、自己解決するために時間がかかってしまう。それが、長時間労働や残業の常態化につながっている。

 これは、特に若手社員において深刻だ。まだ社内での関係性が希薄で、かつ業務の進め方が分からない新人にとっては不安な状況だろう。

 リ・カレントが、テレワークで働く20代若手社員に行った調査では、上司、先輩への雑談・相談に対し、「忙しさや状況をみて遠慮してしまうことがある」が約33%、「相談する機会を設けにくい」が15%と、半数近くが相談しにくいと回答している。
 また、若手社員を率いるメンバーとっても、リモートにおいて残業の課題を抱えている。

 パーソル総合研究所が、企業で働く20~59歳の正社員を対象に行った調査では、テレワーク勤務の部下を持つ上司層の不安について質問を行うと、「業務の進捗が分かりにくい」が約46%、「相手の気持ちが察しにくい」が約45%という結果になった。

 テレワークでは上司も部下の悩みなどを上手く汲み取れず、部下の仕事の進捗を直接把握しづらいため、結果として残業を助長してしまう様子がうかがえる。チーム全体でこのような事態が起これば、後輩を束ねる先輩社員やチームの仕事を管理する上司の負担も増えて残業につながる可能性があるのだ。
 テレワークをオフィスワークと同レベルの労働環境にすることは難しいが、1人で働いている際でも、業務に必要な情報を把握しやすい基盤を作ることはできる。

 例えば、対外的な顧客対応の業務について重要になるのが顧客情報の管理だ。過去の商談記録や、顧客の肩書き、氏名、業務内容、部署などの基本的なプロフィールなど、顧客に関する情報が一元化できれば、その情報をもとに、失注理由の把握や仮説の立案などを効率的に行うことができる。結果的に、残業時間の削減にもつながる。

テレワークでの業務効率化を実現するITツールの導入

【画像】shutterstock
 テレワークの業務効率を低下させる原因、「雑談など、ささいなコミュニケーションが取れない」「過去の商談情報や顧客の連絡先などの情報がどこにあるか分からない」といったトラブルは、ITツールを上手く活用することで軽減することができる。 例えば、営業DXサービス「Sansan」なら以下のような機能を活用がある。
  • スマートフォンアプリを使うことで、時間や場所を問わず同僚の連絡先をすぐに確認し、連絡できる
  • 過去に同僚が商談した内容を確認できる、また、顧客の情報や過去のアプローチ内容をもとに上司と相談できる
 ひと目でメンバーの活動状況やアプローチ中の顧客情報を確認できるため、無駄なくスピーディーにコミュニケーションを取れるほか、今、何に困っているのかも特定しやすい。

テレワークにおける残業を減らすには、ITツールの導入が肝

 業務をただオンライン化するだけでは、テレワークは上手く機能しない。むしろコミュニケーション不足により、かえって残業が増えてしまう恐れも。残業の実態を把握するには、まずITツールを導入して情報をデータ化し、いつでも誰でもアクセスできる状態を構築することが肝心だ。ぜひこの機会にITツールの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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