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人事 公開日: 2021.11.16

時短勤務とは? メリット・デメリットから導入の流れまで解説

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 近年、働き方の多様化に伴って時短勤務に注目が集まっている。ワーク・ライフ・バランス推進の一環として法律で定められている制度だが、あいまいにしか理解していない部分も多いだろう。本記事では企業が時短勤務を導入するメリットや導入の流れについて解説する。

【画像】Shutterstock

目次

時短勤務とは?

 時短勤務とは一日の所定労働時間をフルタイムよりも短くし、家庭の事情を抱える社員が働きやすくなる制度である。一般的にはフルタイムが8時間であるところを6時間程度に短縮するケースが多い。

時短勤務の目的と義務化について

 時短勤務は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」)によって定められている。この法律は家庭における育児や家族の介護によって労働者の雇用の継続や再就職が脅かされないように、事業主が講ずる措置を定めており、経済や社会の発展への寄与を目的としている。

 育児・介護休業法は1992年に制定された法律であるが、歯止めがかからない出生率の低下や介護離職の社会問題化を反映し、度重なる改正が加えられてきた。直近の改正は2021年の6月で、これは2022年4月1日から施行される。この改正に時短勤務の導入義務化が含まれているのだ。これは大企業・中小企業に関わらず全ての事業者が対象である。

時短勤務とフレックスタイムの違いとは?

 時短勤務と混同しやすい制度としてフレックスタイムがある。フレックスタイムとは必ず出勤していなければいけない「コアタイム」と、出退勤の時刻を自由に選べる「フレキシブルタイム」を分けて管理し、勤務時間に柔軟性を持たせる制度である。

 例えば11時から15時がコアタイムと決まっている場合、11時から15時までの時間が勤務時間に入っていれば、何時に出退勤しても良いのである。9時に出勤して17時に退勤する場合、9時から11時と15時から17時はフレキシブルタイムとなる。この出退勤時間は毎日自由に変更できるが、一定期間の規定労働時間は満たす必要がある。

 時短勤務との違いは出退勤時間の自由度である。時短勤務は1日の勤務時間がフルタイムより短くなるが、勤務時間は毎日固定されている。一方で、フレックスタイムはコアタイムの出勤さえ守っていれば勤務時間を自由に変動できる。

 フレックスタイムを導入している企業でも、別途時短勤務制度を導入する必要がある点に注意したい。

時短勤務の適用期間や導入状況

【画像】Shutterstock

時短勤務の対象と適用期間

 時短勤務が義務化されたとはいえ、全ての社員が自由に時短勤務にできるわけではない。時短勤務の対象となる社員の条件は、以下のように規定されている。
1.3歳に満たない子を養育する労働者であること
2.1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
3.日々雇用される者(日雇い労働者)でないこと
4.時短勤務が適用される期間に育児休業を取得していないこと
5.労使協定により適用除外と規定された労働者でないこと
 また、5の適用除外と規定されうる労働者の条件は以下の通りである。
(ア)雇用期間1年未満の労働者
(イ)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
(ウ)業務の性質または業務の実施体制に照らして時短勤務が困難な業務に従事する労働者
 ただし、(ウ)の規定における労働者に対しては、時短勤務以外の代替措置を講じなければならないと規定されている。例えば時差出勤、フレックスタイム、ベビーシッター費用の援助などである。

 また、時短勤務は正規雇用社員だけに限定される制度ではない。上の条件を満たしていればパート・アルバイトや契約社員でも対象にしなければならない。

時短勤務時の給料

 固定月給制や時給制の社員の場合、時短勤務を適用した場合には短縮された勤務時間数に応じて給料を減額できる。時短勤務時の月額基本給は以下の計算式によって算出される。

 時短勤務時の月額基本給=本来の月額基本給×時短勤務時の月の合計労働時間÷本来の月の合計所定労働時間

 例えばフルタイム8時間で働いていて基本給が25万円の社員が以下条件で時短勤務を行うことを想定してみよう。
  • 時短勤務時の1日の労働時間:6時間
  • 時短勤務時の労働日数:20日
  • 本来の1日の所定労働時間:8時間
  • 本来の月の所定労働日数:20日
 この条件で計算式をあてはめると以下のようになる。

 本来の月額基本給(25万円)×時短勤務時の月の合計労働時間(120時間)÷本来の月の合計所定労働時間(160時間)=時短勤務時の月額基本給(18.75万円)

時短勤務の導入状況

 厚生労働省による「平成29年度雇用均等基本調査」によれば時短勤務を導入している事業所は66.4%で増加傾向にある。介護のために時短勤務を導入している事業所は61.6%であり、こちらも増加傾向である。育児・介護休業法の改正によって、今後ますますの増加が予想される。

時短勤務導入のメリット・デメリット

【画像】Shutterstock
 時短勤務導入には企業にとってもさまざまなメリットがあるが、トレードオフとなるデメリットも存在する。メリットとデメリットの両方を把握することで、より適切な時短勤務制度を検討・導入できるだろう。本セクションでは、時短勤務のメリットとデメリットについて解説する。

時短勤務導入のメリット

優秀な人材の確保
 近年の社会において働き方の多様性に対する意識は年々強まっており、労働者は多様な働き方ができる企業を就職先として選ぶ傾向にある。特に20~30代の若年層はSDGsやESG(持続可能な開発目標)に対する興味関心が高く、ジェンダー平等やワーク・ライフ・バランスの意識の高い企業で働きたいという傾向がみられる。育児・介護休業や時短勤務などの働き方の多様化を推進すれば優秀な若年人材の確保に寄与すると考えられる。
生産性の向上
 労働時間を短くした結果、社員の満足度が高まり、モチベーションアップや生産性の向上に寄与した事例が複数報告されている(詳細については後述)。長時間労働はうつ病をはじめとする精神面での不調につながるほか、十分な休息の時間が取れないため、睡眠不足などをもたらし、業務の効率を低下させる。

離職率の低下
 現実的な問題として家庭での育児や介護は社員にとっては避けて通れない生活上の課題であり、会社がそれに配慮した制度の導入を検討しない場合、転職という選択肢しか残されていないケースが出てくる。その結果、優秀な社員の離職につながる場合が多い。一方で、育児や介護と仕事を両立できる仕組みを整えれば、それまでに行った社員への指導・研修などの投資が無駄にならずに済むと考えられる。

時短勤務導入のデメリット

コミュニケーションにかける時間の減少
 時短勤務の社員が増えると社員同士のコミュニケーションにかける時間もそれに応じて短くなる。結果として十分なコミュニケーションの機会が失われ、情報共有のミスや社員間の連帯意識の希薄化のリスクがある。これを防止するにはビジネスチャットやグループウエアなどを利用してコミュニケーションの円滑化を促進する必要がある。

業務の過密化
 労働時間が短くなっても業務の量が減らなければ、短い時間で同じ量の仕事を完遂させなければならなくなる。必然的に業務が過密化し、社員のストレスが余計に増大してしまう場合がある。これを防止するには、プロジェクト管理ツールなどの導入により、デジタルトランスフォーメーションによる業務効率化も同時に推進する必要がある。

時短勤務の導入の流れ

 時短勤務を社内制度として設計し、定着させていくには、どのようなステップが必要だろうか。以下の手順が、基本的な流れである。

1.制度を理解する

 まず総務担当者が時短制度についてよく把握しなければならない。これは法律に基づく事項なのであいまいな理解で実施すると違法行為になりかねず、コンプライアンス上の問題が生じる可能性がある。時間をかけてしっかりと把握する必要があるだろう。

2.就業規則を改定する

 時短制度を導入するには就業規則を改定する必要がある。就業規則改定の手続きは他の一般的な改定の手続きと同じである。労使で話し合って決める。特に賃金については紛糾しやすいのでしっかりと同意を取り付ける必要がある。

3.申請マニュアルを作る

 ルールが定まったら申請時に社員がやらなくてはいけない作業、用意する書類などのマニュアルを作成する。多くの社員は制度や手続きを正確に理解していないことが多いため、理解しやすいようにマニュアルを作る必要がある。

4.労働者へ周知する

 就業規則とマニュアルができあがったら社員へ周知しなければならない。社員が知らないままだとせっかく導入した制度も利用されない可能性がある。

時短勤務を導入する際の注意点

 時短勤務適用の手続き方法は企業が一義的に定めてもよいが、以下の事項に注意しなければならない。
1.申請手続きによって社員に過剰な負担を生じさせてはならない
2.育児休業など他の手続きとの整合性も考えて決めること
3.時短勤務の適用社員に対し、雇い止め、減給、解雇、報復人事などの不利益な扱いをしないこと

時短勤務の導入事例

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株式会社ウィルドの事例

 情報通信業のウィルドはバックオフィスで働く社員からの要望により短時間勤務とテレワークを組み合わせ、大幅な勤務時間の削減を実施した。現在この企業の社員は1日4.5時間勤務で出勤は週に2日、残りの3日はテレワークで勤務している。社内の情報共有やスケジュール管理はITツール(ビジネスチャット)を用いている。また、電話応対はアウトソーシングを利用するなどバックオフィスの効率化を推進している。

富士電子工業株式会社の事例

 富士電子工業では女性社員の離職率の高さが課題だった。そこで時短勤務制度を導入し、性別に関係なく、子どもが体調不良の際には30分単位での有休取得を可能にするなどフレキシブルな働き方を推進した。その結果、女性社員の多くが出産後に半年ほどで復職できるようになり、5年間で女性管理職の数が1人から8人に増えた。

株式会社ワコールの事例

 女性用下着メーカーの株式会社ワコールでは、育児支援及び介護支援の制度として、全社員を対象に短時間勤務制度を導入した。女性社員の比率が高く、出産・育児による離職が課題だった同社では、育児では30分単位、介護は1時間単位で1日の所定時間をそれぞれ2時間短縮することを可能にした。

 その結果、2019年時点で約400人の社員が制度を利用している。

時短勤務の制度を有効活用しよう

 法改正に伴い、時短勤務制度の導入が必須となる。時短勤務制度は企業にさまざまなメリットをもたらすが、適切な準備なしに導入すると社内のコミュニケーションの低下や業務の過密化という課題も生じる。ITツールの活用によるコミュニケーション円滑化や業務効率化もあわせて実施すると良いだろう。

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