営業
公開日: 2021.03.11
SFAを活用し、営業活動のパフォーマンスを最大化させるためには
営業の働き方やあり方が大きく変わりつつある中で注目されているSFA。だが、せっかく導入したのにも関わらず、うまく活用しきれない事例もある。本記事では、SFAのメリットとともに、導入が失敗してしまう要因から、活用ポイントまで解説する。

【画像】shutterstock
先行きが見えない中で、売上のパイプラインをSFAで正確に把握
SFAとは、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略で、「営業支援システム」を指す。顧客情報の管理や案件進捗管理といった営業担当者の業務を効率化・自動化することから、多くの企業で導入が進んでいる。
1993年に、アメリカのシーベル・システムズ社が今のSFAの原型である製品を開発した。しかし、当時のSFAは情報を入力・整理するシステムにすぎず、現在のようにマーケティング機能が実装されていなかったため、広く普及するには至らなかったという。SFAが日本に上陸したのは1990年代後半だが、本格的に導入が進んだのは2010年代からとされている。
混同しやすいものとしてCRM(Customer Relationship Management、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)がある。CRMは「顧客関係管理」を意味し、セールスに限らず、経理や財務、開発などあらゆる部署が持つ顧客データを横串で管理する。顧客が持つニーズを把握・理解し、マーケティング戦略の精度向上や効率化につなげるものだ。
矢野経済研究所が国内の民間企業を対象に行った調査によれば、2012年でCRMおよびSFAを導入している企業の割合は9%だったのに対し、2018年には28%と、20%近く増加していることが分かる。
1993年に、アメリカのシーベル・システムズ社が今のSFAの原型である製品を開発した。しかし、当時のSFAは情報を入力・整理するシステムにすぎず、現在のようにマーケティング機能が実装されていなかったため、広く普及するには至らなかったという。SFAが日本に上陸したのは1990年代後半だが、本格的に導入が進んだのは2010年代からとされている。
混同しやすいものとしてCRM(Customer Relationship Management、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)がある。CRMは「顧客関係管理」を意味し、セールスに限らず、経理や財務、開発などあらゆる部署が持つ顧客データを横串で管理する。顧客が持つニーズを把握・理解し、マーケティング戦略の精度向上や効率化につなげるものだ。
矢野経済研究所が国内の民間企業を対象に行った調査によれば、2012年でCRMおよびSFAを導入している企業の割合は9%だったのに対し、2018年には28%と、20%近く増加していることが分かる。
SFAが注目される理由
SFAが注目される理由としては、ビジネス環境の変化、複雑化・膨大化するデータ管理の限界、購買プロセスの変化の三つが挙げられる。
・目まぐるしく変化するビジネス環境
新型コロナウイルス感染症の拡大による活動制限に伴い、一部の企業では業績悪化を予測している。企業が存続していくためには、現状どのくらい売上の見込みが立つのか、また不足しているかを精緻に把握したうえで、営業戦略を策定する必要がある。
新型コロナウイルスが収束したとしても、AIやIoTなど新技術の普及により、ビジネス環境は幾度も激しい変化を引き起こすだろう。特に、収益に直結する営業部門においては、常に売上や顧客情報のデータを管理・可視化し、滞りなく変化に対応できる事業戦略・営業戦略を立てる必要がある。
・複雑化・膨大化するデータ管理の限界
ビッグデータという言葉を耳にして久しいが、奇しくも新型コロナウイルスの感染拡大により、ビッグデータ活用が一気に浸透した。商談ひとつを取っても、商談内容、商談時間、資料閲覧回数、失注理由など、多くの情報が取得できる。しかし、収集できるデータは際限なく増えるため、ビジネスパーソン自身が膨大なデータを紙やエクセルを基に、リアルタイムに収集し分析するのには限界がある。効率的に、異なるデータ同士のひも付けや分析、管理が可能となるSFAのようなシステムが必要になるだろう。
・購買プロセスの変化
従来では、いわゆる「プロダクトアウト」であり、顧客はマス広告やマスメディアから情報を収集し、購買をしていた。そこからインターネットが普及し、購買プロセスが大きく様変わりした。顧客は、インターネットやSNSを使えば、膨大な情報を通してサービスや商品のレピュテーション、価値などを知ることができるようになった。
そのため、企業に求められるのは顧客が持つニーズを把握し、そのニーズに見合ったサービスや商品を開発することである。そこで大切になるのはデータだ。いかに、多くのデータを収集・分析し、適切なタイミングで適切なターゲットにアプローチするかが重要になる。
新型コロナウイルス感染症の拡大による活動制限に伴い、一部の企業では業績悪化を予測している。企業が存続していくためには、現状どのくらい売上の見込みが立つのか、また不足しているかを精緻に把握したうえで、営業戦略を策定する必要がある。
新型コロナウイルスが収束したとしても、AIやIoTなど新技術の普及により、ビジネス環境は幾度も激しい変化を引き起こすだろう。特に、収益に直結する営業部門においては、常に売上や顧客情報のデータを管理・可視化し、滞りなく変化に対応できる事業戦略・営業戦略を立てる必要がある。
・複雑化・膨大化するデータ管理の限界
ビッグデータという言葉を耳にして久しいが、奇しくも新型コロナウイルスの感染拡大により、ビッグデータ活用が一気に浸透した。商談ひとつを取っても、商談内容、商談時間、資料閲覧回数、失注理由など、多くの情報が取得できる。しかし、収集できるデータは際限なく増えるため、ビジネスパーソン自身が膨大なデータを紙やエクセルを基に、リアルタイムに収集し分析するのには限界がある。効率的に、異なるデータ同士のひも付けや分析、管理が可能となるSFAのようなシステムが必要になるだろう。
・購買プロセスの変化
従来では、いわゆる「プロダクトアウト」であり、顧客はマス広告やマスメディアから情報を収集し、購買をしていた。そこからインターネットが普及し、購買プロセスが大きく様変わりした。顧客は、インターネットやSNSを使えば、膨大な情報を通してサービスや商品のレピュテーション、価値などを知ることができるようになった。
そのため、企業に求められるのは顧客が持つニーズを把握し、そのニーズに見合ったサービスや商品を開発することである。そこで大切になるのはデータだ。いかに、多くのデータを収集・分析し、適切なタイミングで適切なターゲットにアプローチするかが重要になる。
SFAを活用するメリット

【画像】shutterstock
SFAを活用すると、どのようなメリットが得られるのだろうか。
・営業活動の効率化
営業で意外と時間をとられるのが日報業務だ。株式会社ビーブレイクシステムズの調査では、日報業務にかかる時間は5分未満が21%、5〜10分未満が16%、10分以上30分未満が10%であることが分かっている。5分はほんのわずかな時間に感じるが、積み重なれば1カ月で1時間半、1年で20時間であり、けっして軽視できる数字ではないだろう。
営業で意外と時間をとられるのが日報業務だ。株式会社ビーブレイクシステムズの調査では、日報業務にかかる時間は5分未満が21%、5〜10分未満が16%、10分以上30分未満が10%であることが分かっている。5分はほんのわずかな時間に感じるが、積み重なれば1カ月で1時間半、1年で20時間であり、けっして軽視できる数字ではないだろう。
SFAでは、チェックボックスやプルダウン方式で日報の記入フローを簡略化できたり、オフィスに戻らずに外出先からでも簡単に日報作成が可能になる。そのほか、営業成績や案件進捗などの各データをクロス集計したレポートも自動作成できるなど、データ分析やレポート作成業務の効率化にもなる。
・営業の属人化の解消
一部のトップセールスの売上に依存してしまうと、トップセールスはマネジメント側に立てずに、現場に出続けて若手の営業が育たない状態になってしまう。万が一、この状況でトップセールスが会社を離職した場合、会社は大きな損害を被るだろう。SFAを使えば案件進捗状況や売上金額など営業に関するデータが蓄積されるだけでなく、お礼メールを送るタイミングや、初回商談のスクリプトなど今までブラックボックス化されていた成功要因も蓄積でき、営業全体のレベルを高めることができる。
・営業活動の進捗管理が可能
紙やエクセルベースでも営業進捗を可視化できるが、営業メンバーが多いと、マネジャーは各担当の日報や報告書を全て読む必要がある。SFAを使うことで、メンバー一人ひとりの営業活動の進捗が一覧で可視化されるシステムもあるため、容易に停滞案件の発見・対策ができるようになる。
・営業の属人化の解消
一部のトップセールスの売上に依存してしまうと、トップセールスはマネジメント側に立てずに、現場に出続けて若手の営業が育たない状態になってしまう。万が一、この状況でトップセールスが会社を離職した場合、会社は大きな損害を被るだろう。SFAを使えば案件進捗状況や売上金額など営業に関するデータが蓄積されるだけでなく、お礼メールを送るタイミングや、初回商談のスクリプトなど今までブラックボックス化されていた成功要因も蓄積でき、営業全体のレベルを高めることができる。
・営業活動の進捗管理が可能
紙やエクセルベースでも営業進捗を可視化できるが、営業メンバーが多いと、マネジャーは各担当の日報や報告書を全て読む必要がある。SFAを使うことで、メンバー一人ひとりの営業活動の進捗が一覧で可視化されるシステムもあるため、容易に停滞案件の発見・対策ができるようになる。
多くの企業が使いこなせていないSFA

【画像】shutterstock
ここまで、SFAの利便性を解説したが、一方で、SFAをうまく活用できずに運用をやめてしまったケースも少なくない。株式会社マツリカがSFA導入企業を対象に実施した調査では、問題の解決状況について「どちらとも言えない」「ほとんど解決されていない」「全く解決されていない」が合わせて55.0%と、半数以上がSFAを導入しても、問題が解決できていないことが見て取れる。
SFA導入には、業務フローの見直しや入力工数の増加など、現場で働く従業員に負担もかかる。導入の先にあるメリットを明確に提示できない限り、SFAの運用は形骸化してしまうだろう。
“SFAの単体使い”が導入効果を最大化できない原因に
ここでは、SFAが定着しない原因について、もう少し深堀りをして考察する。原因としては、大きく以下の三つが挙げられる。
1. 運用フローが確立されていない
顧客データの登録方法が整理されておらず手間がかかる状態だと、現場への入力負荷が高く、営業担当者が個人個人で入力しなければならないことで更新頻度に差が出てしまうことが多い。
よくあるケースが、とりあえず計測したい項目を全て盛り込んでしまうことだ。多くのデータを収集できるが、入力項目が多くなり、担当者によって入力状況や更新頻度にばらつきが出てしまう。入力の手間が増えると現場にシステムが浸透しづらいため、目的を実現するのに必要な項目に絞って担当者の負荷を減らすことが必要だ。
2. 入力ルールが整備されていない
入力ルールが統一されていないため、SFAに入っている顧客データの重複が起こったり、記入形式が異なるデータ(例:「株式会社A」「(株)A」)の混在などが起こったりして、正しくデータの集計や分析ができなくなってしまうことが多い。具体的な表記ルールからテンプレートの用意など、入力ルールの整備が求められる。
3. 登録情報が不足している
商談情報のみしか蓄積されておらず、マーケティング領域での接点情報や、企業・人物の詳細な基本情報は連携されていない場合、受注確度の精度は上がりづらい。企業の登記情報を参考にしたり、営業部門以外で得た情報を組み合わせたりすることで、顧客の所属部署の変更や興味関心の変化に気づきやすくなる。
1. 運用フローが確立されていない
顧客データの登録方法が整理されておらず手間がかかる状態だと、現場への入力負荷が高く、営業担当者が個人個人で入力しなければならないことで更新頻度に差が出てしまうことが多い。
よくあるケースが、とりあえず計測したい項目を全て盛り込んでしまうことだ。多くのデータを収集できるが、入力項目が多くなり、担当者によって入力状況や更新頻度にばらつきが出てしまう。入力の手間が増えると現場にシステムが浸透しづらいため、目的を実現するのに必要な項目に絞って担当者の負荷を減らすことが必要だ。
2. 入力ルールが整備されていない
入力ルールが統一されていないため、SFAに入っている顧客データの重複が起こったり、記入形式が異なるデータ(例:「株式会社A」「(株)A」)の混在などが起こったりして、正しくデータの集計や分析ができなくなってしまうことが多い。具体的な表記ルールからテンプレートの用意など、入力ルールの整備が求められる。
3. 登録情報が不足している
商談情報のみしか蓄積されておらず、マーケティング領域での接点情報や、企業・人物の詳細な基本情報は連携されていない場合、受注確度の精度は上がりづらい。企業の登記情報を参考にしたり、営業部門以外で得た情報を組み合わせたりすることで、顧客の所属部署の変更や興味関心の変化に気づきやすくなる。
SFAをフル活用するポイントは、他システムとの連携

【画像】shutterstock
前述したように、SFAを導入するだけでは、営業活動は効率化しない。重要なのは、SFAで分析した結果を基に、的確な戦略を設計し実行することだ。SFA導入の目的と運用フローを明確にし、SFAを実際に利用する営業担当者に理解を示してもらう、メリットを感じてもらうことで、ある程度の導入効果を出せるが、CRMやMA(Marketing Automation)などの他システムとの連携をすることで、SFAの導入価値を最大限に引き出すことができる。
法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は、数名規模の中小企業から大手企業まで導入実績がある国内84%のシェアを誇る名刺管理サービスだ。例えばSFAシステム最大手Salesforce※との連携も可能で、名刺をSansanに取り込むと、名刺データから自動的に会社の基本情報やターゲットの役職といった新規情報を付与し、Salesforceに入力される。
また、過去に名刺交換をした顧客が部署異動や転職をしても、社内の別の担当者が名刺交換をしたり、 ダイヤモンド社、Eightなどから提供される人事異動情報を基に名刺データが自動で更新され、Salesforceにも反映される。
法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は、数名規模の中小企業から大手企業まで導入実績がある国内84%のシェアを誇る名刺管理サービスだ。例えばSFAシステム最大手Salesforce※との連携も可能で、名刺をSansanに取り込むと、名刺データから自動的に会社の基本情報やターゲットの役職といった新規情報を付与し、Salesforceに入力される。
また、過去に名刺交換をした顧客が部署異動や転職をしても、社内の別の担当者が名刺交換をしたり、 ダイヤモンド社、Eightなどから提供される人事異動情報を基に名刺データが自動で更新され、Salesforceにも反映される。
※ Salesforce はSalesforce.com, Inc.の商標であり、許可の下で利用しています。
運用方針を見直し、SFAの効果を最大化させよう
SFAは非常に有用なツールだが、導入が目的化しないよう、SFA導入後の運用方針を明確にすることが大切だ。また、行動を監視するためではなく、業務を効率化するために活用するという導入意義を営業部署に伝えることで、スムーズに定着させることができるだろう。
さらに、CRMやMAなどの他システムと連携させれば、より大きな効果を出すことができる。ただし、他システムの導入には、多大なコストがかかり、システムに合わせた業務フローの見直しが必要になるため、事前に既存のシステムとの連携や、運用体制の整備など、導入計画を明確にしておくことが重要だ。
導入目的や運用の仕方を明確にすれば、SFAは営業活動を強化するうえで心強い味方になってくれるだろう。ぜひこの機会に運用方針について一度見直してみてはいかがだろうか。
さらに、CRMやMAなどの他システムと連携させれば、より大きな効果を出すことができる。ただし、他システムの導入には、多大なコストがかかり、システムに合わせた業務フローの見直しが必要になるため、事前に既存のシステムとの連携や、運用体制の整備など、導入計画を明確にしておくことが重要だ。
導入目的や運用の仕方を明確にすれば、SFAは営業活動を強化するうえで心強い味方になってくれるだろう。ぜひこの機会に運用方針について一度見直してみてはいかがだろうか。

営業のパフォーマンスを最大化する Sansan×Salesforce連携
入力精度が高く、名寄せテクノロジーに優れたSansanとSalesforceを連携させることで、実現できることを紹介する。